2015年10月4日日曜日

2015.9.28-30甲斐駒ケ岳・尾白川黄連谷右俣 【記録集】

備忘録とは別に詳細な行程を記録として残しておくこととしよう。

【1日目】日向山登山口から黄連谷右俣出合上流まで

AM5時起床(道の駅白州にて前日車中泊)。車で5分移動し竹宇駒ケ岳神社へ1台デポし日向山(ひなたやま)登山口(矢立岩)先のゲート手前に駐車。ここまで10分程度。舗装された林道だが幅は狭し。紅葉シーズンということもあり非常に駐車場は混み合っている。

錦滝
AM7:35林道前より出発。AM8:05錦滝四阿に到着。ここまで日向山登山道出合。ここから第二ゲートを越え上流を目指しAM8:40林道終点に到着。ここまで約1時間の道のり。林道はところどころ崩落。危険な場所もある。

終盤にトンネルが連続。3個通過する。


林道終点。折口はさらに奥。


ルートがFIXによって示される。かなり急傾斜。
林道終点よりFIX伝いに下降しAM8:56尾白川に入渓。沢支度を済ませ出発。ここから黄連谷出合いまでは概ね直登可能な滝ばかりだが遠見滝の高巻きには注意が必要だ。

入渓して最初に現れる小滝とはいえ釜が深く黄緑色が印象的


AM9:22 夫婦滝目測10mは右岸よりフリクションを効かせて登る。残置支点もあるが確保不要。


AM9:33 梯子滝は多段15m程度。滝壺右岸を飛び石で渡りあとは階段上で楽。
すぐ上にあるとんでもない深い釜を持つ5m滝は這い上がりが若干難しい。


 AM9:44-10:23 遠見滝(4段約40mくらい)右岸を高巻いた


高巻きの途中バンドに追いやられ残置スリングのある木にロープを直接かけ5m懸垂で2段目落ち口に降りる


3段目を右岸より高巻き。途中テラスより4段目を観瀑。落ち口ぴったりに降りることができる。
遠見滝の高巻きは概ね明瞭な踏み跡、残置ロープなどがありおせっかいなくらい。


AM10:42 花岩と呼ばれる左岸の岩壁


花岩直下の噴水滝はスラブ状で登れる。なおもスラブ滝が連続する。


AM11:05 獅子岩。左岸100m上部にある。


獅子岩直下の小滝
AM11:26黄連谷と本谷の二股にて大休止。昼食をとる。10月になるというのにとにかく暑い。水の冷たさが逆に心地よい。この時期の遡行としてはかなり気温が高く恵まれた遡行となった。
PM12:07出発し黄連谷の遡行。千丈の滝、坊主滝などの大滝を擁し高巻きに時間がかかる。左俣・右俣の出合には13:48に到着した。右俣出合の3段15m滝が本日の核心。傾斜はあるがフリーで水線際を直登できる。万全を期すのであれば確保したほうが安全な場所だった。この日は右俣に入ったすぐの場所少々ガレは気になるが薪も豊富にあることから標高1900m地点でテン泊。13:53早めの行動終了とした。この時すでに谷底は日が暮れている。

黄連谷入ってすぐの10m弱の滝。右岸のトラロープがラインに見えてしまうがさらに上をトラバると楽。


PM12:35-13:00 千丈の滝4段60m1段目の滝下にBDの割れたヘルメットがあった。
左岸より2段目に立ち、そこからは左岸を明瞭な巻道を辿り最上段落ち口ピタリに降りる。
そこにはアイスアックスが残置されていて対岸を望むといわゆるテンバ適地が目に付く。


坊主の滝とルンゼを遠望


PM1:04 坊主の滝40mくらいか。左岸のルンゼより巻く。


踏み跡は明瞭で高巻き過ぎないように注意して進むと落ち口ピタリで降りられる。


右俣・左俣出合のスラブは滑りそうで意外と怖い。


初日の核心・右俣出合の滝


テン場は薪が豊富。でも落石が怖い。
【2日目】黄連谷右俣から甲斐駒山頂を経て七丈小屋へ

AM5時起床。朝食を済ませ身支度を整え6:31出発。この谷の核心部奥千丈の滝(200m)を朝日を浴びながら登高。ところどころ確保無しでは不安な部分も出てくるが概ねフリーで抜けられる。
むしろ核心は奥千丈滝上の滝群だった。もろい岩質、幾筋もある踏み跡や藪など沢登の総合的な力が試される。源頭部の詰め上りは間違えるとハイマツ漕ぎで黒戸尾根側に出てしまう。僕たちは詰めを間違えた。正解は岩壁沿いに続く最も右の谷だった。AM11:42甲斐駒山頂に到着。頂上で昼食後下山開始。七丈のテン場に着いたのは14時頃だったが今日もここで行動終了。3日目は下山のみとした。


AM6:40 奥千丈の滝入口の10m直瀑は右手の凹核を登る。
上部が高度感があり確保があると安心。


写真でよく見るトイ状。朝イチでのシャワークライミングは堪える。


奥千丈で一番いやらしい部分。フリーだとレイバック気味で越える。念のため後続にはお助け紐を出す。


奥千丈最後の滝はクラック沿いに落ち口めがけて登る。
落ち口に降りる所に残置ロープがあるがそれは使わなくても少し上で難なく降りられた。


7:27 奥千丈すぐ上に続く滝群。サクサク登れる。


概ね水流沿いに弱点有り。烏帽子沢出合の上の斜め滝はクラックを登り落石を引き起こしたので退散。
複数あったであろう滝群はまとめて右岸草付から巻道に沿って高巻く。


8:41ようやく黄連谷に復帰。しかしまたも直登困難な20m滝。右草付のバンドより高巻く


山頂が見える。


9:08 最後の大滝3段60m直下に立つ。左岸より樹林帯を3段まとめて高巻くが
途中沢に降りる踏み跡を見逃し結果としてハイマツ帯に突っ込み藪漕ぎを強いられた。


源頭部の詰め。幾筋も分かれているができるだけ岩壁沿いに行くのが正解


黒戸尾根登山道までハイマツ帯の苦しい登り


11:13ようやく鞍部に到着花崗岩の白と青空が印象的だった。
【3日目】下山 AM5:30黒戸尾根を下山開始しAM9:30竹宇駒ケ岳神社に到着した。

【まとめ】黄連谷右俣に入るまでは2級くらいの印象。高巻きのルーファイさえしっかりできていれば特に難しいところはない。右俣から最後の3段60m滝までのルートは実力に応じて登攀・高巻きの選択肢が用意されており追いつめられた感じは無い。ただ残置物(ハーケンやスリング)が多く残り間違えて使うと危険なものもあるので注意が必要。源頭部の藪漕ぎの際のルート判断は慎重にしたかった。ただ山頂へと詰めあがた時の爽快感はたまらない。(もちろん晴れていたから)真夏だと暑すぎて逆に大変かも。

2015年10月3日土曜日

備忘録・甲斐駒ケ岳尾白川黄連谷右俣遡行 その2

右俣での夜。今夜もスーパームーンの名残で明るい月夜。深い谷の中に直接月明かりが差し込むことは無いが急峻な花崗岩の白い岸壁に反射した月明かりのおかげでヘッドランプが無くとも目が利く。たき火を囲みながら夜が更けるのを待ち、いつまでも顔を出さない月の登場を待った。

なんとなく待ちたいそんな気分だったがたき火ももう終盤。仕方なく寝ることにした。絶え間ない沢音(水の流れ落ちる音)、吹き上げる谷風、明日への不安などあいまって家のベットで熟睡するようには眠られなかった。まぁ山の中で寝るにあたって熟睡は出来ないのが常。目を閉じ横になる事が体力回復のためにも肝要だ。インナーテントの白布は月明かりに照らされいつまでも明るく眠りを妨げる。時折目を覚ますが今が何時なのかもわからないし確かめる気力もない。寝たり起きたり、夢うつつのまま時が経った。


目覚ましのベルが鳴ると2日目の朝の幕開けだ。ぬくもりの残るシュラフから這い出し、朝の冷たい空気に触れるのを避けシュラフの中であらかた着替えを済ませる。気合一発シュラフから這い出し間髪入れずアウターにフリースを着こむ。狭いテント内で3人それぞれのマットやシュラフを収納する。狭い作業スペースだけにそれぞれ正座したり身をかがめたりしながらせかせかと仕舞こむ。テント内の片づけが済むと朝食だ。今回の山行は登攀要素の強い沢だけに極力荷物を減らしたり軽い物を選んで軽量化につとめ無駄なものを徹底的に排除した。そのため例にもれず食事も軽量化の対象となっているわけで毎食アルファ米&フリーズドライや粉状の味噌汁、スープなど。なるべく軽くて高カロリーな食事に努めていた。今朝はフリーズドライの味噌汁にこれまたフリーズドライの親子丼の素、それをアルファ米にかけて食す。食後のデザートはカロリーメイトとスティック粉末のコーヒー。合計900カロリー。調理にはお湯だけ。簡単かつスピーディーな食事だ。でも味気ないし不健康ですよね。こんな感じの食生活が6食続いた。


さあ前置きはこの辺にしておいて・・・。核心の二日目のスタートです!標高1900m付近、黄連谷右俣のハイライトともいえる奥千丈の滝が始まる。朝日ははるか上方の花崗岩の岩壁を照らしいているがまだまだ谷底に降り注ぐまでには至らない。朝一の重い体に鞭打ちながら1歩づつ登高。幕場よりほどなく奥千丈の滝最初の関門に出会う。入口の10m滝は昨日越えた右俣で最初の滝と同じような難易度の直登できる滝だった。高度感はあるがホールドスタンスともに豊富で問題ないが緊張感を保ちながら登る。入口の滝を越えるとそこはまさに滝の真っただ中。急傾斜のスラブ滝が連続している。思いのほかどの滝も登れるが、万が一ミスって落ちれば数十メートル滑落する事が容易に想像できるような環境だけに一手が慎重になる。そんな中2mほどのツルツルの小滝が目の前に現れる。両岸滑りそうで水線の直登しか考えられない。身を切るような冷たい水の中、滝身に手を突っ込み見えないホールドを探す。冷たさに耐えながら水の中をごそごそやると手ごろなガバ(しっかり指のかかるでっぱり)を発見した。しかし足がかりが無い。これまた水流の中に足を突っ込み高い位置にそれを見出す。レイバック気味のムーブにビビリながらも足がすっぽ抜けない事を信じて(いや自分を騙して)乗り込む!後ろには5mナメ滝、30mトイ状など連続していて落ちると止まらない可能性があった。恐怖心から心拍数が上がり胸打つのが分かる。ふわっとした感覚とともに滝上に登りきった時のあの安ど感。たまりません。生きた心地とはまさにこれ。いや~この谷ではあと何度こんな感覚にさせてくれるのか・・・。アドレナリンでまくりです。

奥千丈の滝序盤のトイ状。水線付近を快適に直登できる。
奥千丈の滝で一番イヤラシかったポイント。 

奥千丈の滝最後の滝は右から落ち口に走る草付クラックを辿り落ち口ぴったりに巻いた。最後の滝を越えても相変わらず滝だらけ。もはや滝というよりも岩壁に水が滴り落ちている。そんな印象を受けるほど水は細く、スラブは急になっていった。いくつかの滝を直登し、その容易さに若干余裕が出てきていたころにそれは現れた。目測20m位の斜爆。一見すると直登不能なように思え弱点を探していると滝身左のクラックが上部へ抜けるのに快適そうに見える。ただロープを伸ばしたいような傾斜であった。よくよく観察しているとクラックに残置視点が。これを利用しない手はない!!リードでK山氏が登ることに。「ビレイしようか?」の問いにK山氏は「いいよいけるところまで行ってみる」とのことでフリーソロでチャレンジ。結果としてこれが最良の判断となった。リードで登るK山氏を下から見守っていると10m程高度を上げたあたりで行き詰っている様子が見える。ルートを探して右往左往しているようで、下りるにも懸垂支点が見受けられない。「やっぱビレイ取っておけばよかったな」とか思っていた。滝の落ち口方向にトラバースしかけた時それは起こった。「ガボ」鈍い音とともにK山氏のホールドが巨大な岩片(目測1m四方)となってを剥がれ出した!一瞬持ちこたえたが明らかに人力では持てないような体積のそれを支えられるはずもない。「ラクー!ラク!ラーク!」越えの限り叫んだ。ヤマピはその時岩の下降予測地点の真下あたりに居た。しかもたまたま目をそらしていたこともあり僕の声で異変に気づいた!二人は上流めがけて一心不乱に駆け出した!目の前の小滝の流心に飛びついた瞬間「ドカーン!!」物凄いクラッシュ音とともに岩は谷底に激突。白煙があがり焦げ臭さすら感じる。二人は無事だ。K山氏は!?目線を上に向けると元居た場所にK山氏は張り付いていた。こちらの安否を知らせK山氏の無事を確認する意味で「こっちは大丈夫!そっちは!?」と大声で叫ぶ。間もなくK山氏より大丈夫!のリターン。心の底からホッとした瞬間だった。と同時に先に進むためのホールドがはがれたK山氏の救出に向かうべくいったん下流に下がり右岸の岩溝より高巻きしK山氏の上部に出ることにした。高巻きは予想以上に悪く丈夫数メートルは完全フリーの確保無しでは恐ろしいフリクション勝負のスラブ登高となった。その途中「潤、もっと上」の声が聞こえた。K山氏からのコールだった。どうやらK山氏自身は安全地帯まで登り詰めてようだ。しばらく巻き上がったところでK山氏と合流。危機を振り返りあの時ビレイしていたら僕は死んでいたのだ・・・。いや引きずられてK山氏も落ちていたしヤマピも巻き込まれていたかも・・・。安ど感と共に背筋に旋律が走った。やはりこの谷には死が隣り合っている・・・。
またもや実感する出来事に直面したのであった。なにはともあれ生きている。まだ戦える。
気合を入れ直し黄連谷右俣の遡行、いや、”格闘”を再開した。
ジワリジワリ直登します

大胆なシャワークライミングも楽しい

高度感あふれる渓相

高巻きを続ける事30分、そろそろ谷に戻りたい。すると谷に戻れそうな踏み跡を発見!辿ってみるとやはり谷に抜け出すことができた。20mほどの直登不能なスラブ滝が行く手を阻む。しかしまだこの谷はてこずらせてくれるなぁ。この滝の高巻きも非常に絶妙だった。3段に分かれた逆走スラブを高巻きながら登り最後はギリギリつながる草付クラックを登り数メートル気持ち悪いフリクション勝負の登りを強いられた。なんとか滝上に立つと水はぐっと少なくなり眼前にはなにやら岩壁が見えている。近づくにつれそれが滝であることが分かってきた。ごつごつした一段目なめらかな2段目が目視で来た。これが最後の大滝3段60mか。1段目が登れそうだが2段目で行き詰ることは必至。無理せず左岸の尾根状より高巻きを選択。取り付いてみると巧妙な高巻き道がついている。普段獣道を追ってルーファイしている僕らにとってはそれは高速道路のように立派な道に見えるほどよく踏まれた踏み跡で正解ルートであることが一目瞭然であった。
右岸を高巻き。上部がフリクション勝負

水が枯れはじめ源流な雰囲気になる

出ました3段60m
しかしこの踏み跡、一向に谷に戻らない途中3段60mの1段目に出る踏み跡があったものの谷に戻らずハイマツ帯へと繋がっていく。次第に背の高いハイマツを掻き分け進むようになり谷底の様子は見受けられない。踏み跡はまだ続いている事からここは無理せず巻き続けることにする。
ハイマツを奮闘しながら掻き分け進んでいくと谷への降下点を発見!谷はほとんど涸れ水もしたたるばかり。昼飯用の水汲み忘れた!!気づいた時には時すでに遅し。されどもヤマピ執念の集水でなんとか2ℓ確保。南アルプスの天然水源流の貴重な水源だった。
長かった谷もいよいよクライマックス。稜仙が目前に迫る。ピークはどれだー!!とりあえず適当な岩峰に焦点を絞りハイマツの海を這い上がる。そのハイマツの海も永遠と思われる頃突如として人影を発見!まさにそれは登山道であることの証明。ヤマピを先頭にガシガシハイマツの海を無心で登る。目の前を行くヤマピが「出たー!」の一言。遂に黄連谷の終わりを告げた。突如として登山道に飛び出た!当初目標にしていた甲斐駒頂上直下の鞍部には出られなかったものの頂上より数十メートルの場所に出ることができた。頂上まではあとわずか。平日というのに頂上は登山者でにぎわっている。さっきまで人どころか獣一匹たりとも見ないような世界にいたとは思えないほどの光景である。
頂上直下最後のハイマツ漕ぎ

黄連谷からの甲斐駒登頂!
辿り着いた甲斐駒の頂上は真っ白の砂地。(花崗岩の風化した砂礫)ここはビーチか?と見まごうほど!登頂祈念に3人で記念撮影。写真をとってくれたおじさまに「今から鋸岳行くの?」(※甲斐駒よりつづく険しい岩山)と聞かれ「沢登です。黄連谷から」と答えるとおやっさんの頭の上に?マークが浮かんでいるのが見えた。ですよね。沢ヤの世界はマイナーですよね。誰にも認められない成果だけど僕たちは満足感でいっぱいだった。誰に認めてほしいわけではない。自分たちが納得したかっただけだから。この遡行は成功した。頂上に立ち360℃の大展望を満喫し僕らは悦に入っていた。下山路は日本三大急登に数えられる黒戸尾根。実はここからもまだまだ大変な道のりだ。
今日は七丈のテン場で宿泊だ。そこまではくだらなければならない。僕は山をあまり知らない。だから正直なめていました。この道・黒戸尾根を。痩せ尾根を降下していくとところどころ鎖場が現れるようになる。重たい荷物を背負いながらの下りは足に来る。ひーこら言いながら下山しつづけること2時間。ようやく七丈のテン場に到着した。激闘の黄連谷を終えこの山行最後の一晩。1本800円の高級ビールで乾杯!身に染みる~!!鳳凰三山を眼前に日没ともに眠りにつく。相変わらず寝たり起きたりと浅い眠りだが達成感と満足感で胸いっぱいで眠れないというのもあった。
翌朝、最終日。昨夜半より強風吹き荒れ朝方日の出の頃まで暴風となった。早く動いてもどのみち今日は下山のみ。朝4時起床でのんびり準備他のパーティーは日の出を見ないようだ。
暴風吹き荒れ寒いのでテント内で朝食。着替えやらなんやら済ませるといつの間にか東の空は赤くなっていた。出発の準備を完了し歩き始めるとほどなく日の出。何度見ても山の日の出は気持ちがいいもんだ。また、紅葉の深まる季節森が焼けるようで美しい。いくつか梯子や鎖場をやりすごし痩せ尾根を超えぐんぐん高度を下げる。さすが黒戸尾根。簡単に下山させてくれない。やっとの思いで下山し所要時間を見るとコースタイム通り。最後に尾白川にかかる吊り橋を渡り竹宇駒ケ岳神社に帰着する。旅の無事を報告し感謝の意を表し駒ケ岳神社を後にする。試練の山行はこれにて終了!日向山登山口にデポした車を回収し温泉&昼食を済ませ飛騨と東京に別れた。
鳳凰三山と日の出

黒戸尾根下部は美しい雑木林が広がる

尾白川の吊り橋を渡る

竹宇駒ケ岳神社にお礼

今回の山行は非常に挑戦的であり、自分たちの実力からすると少し背伸びした感が否めなかった。大きなけがもなく無事に遡行が完結出来たのは自分たちの実力のみならず良好な天候、そしてそれも含めた強運出合ったのだと思う。一歩間違えば死んでいた場面があったこと。でも結果的に”生かされている”こと。その意味を改めて受け止める事でこれからの人生の励みとしていきたい。視野を広げる旅は大いなる学びと経験を与えてくれる。今回の山行も中身の濃い1ページとなって刻まれた。されど僕たちの旅はまだまだ終わらない。そうこの狭い小坂の地でさえまだ見ぬ世界がある!僕は欲張りだ。つくづくそう思う。まだ知りたい。もっと知りたい。小坂も御嶽も南アルプスも・・・。命の続く限り、自分の手と足が届く限りその先を求め続けたいと思う。
まだいける。そのさきへ。
【1日目】7:35尾白林道ゲート→8:56入渓→11:26黄連谷出合→13:48右俣出合→13:53終了
【2日目】6:31出発→6:40奥千丈の滝→7:27奥千丈の滝上→9:08 3段60m滝→11:42甲斐駒山頂→15:00七条小屋(テン場)
【3日目】5:25テン場出発→9:36竹宇駒ケ岳神社


2015年9月30日水曜日

備忘録・甲斐駒ケ岳尾白川黄連谷右俣遡行 その1

視野を広げる旅。毎年恒例となった秋の沢旅。今年は今までにない挑戦的な沢登をチョイス。
黄連谷。その名は沢登を志した当初より目にしている名渓中の名渓。このブログでも時折触れる沢のグレーディング。それによれば(文献にもよるが)3級上から4級といった上級者向けの沢登コースであることがわかっていた。そのため幾分不安はあった。いや、不安だらけだった。

今回の山行はいつものメンバー。やまぴ&K山氏の3人トリオ。初日は仕事の都合で遅れて東京から合流のK山氏を待つ形で余裕のスタート。スタート地である山梨県北杜市白州町はかの有名な南アルプスの天然水のボトリングの採水地。&サントリーウイスキー”白州”の蒸留工場がある名水の本場である。てなわけでちゃっかり工場見学&白州のショットグラスをゲット!前夜祭はスーパームーンを眺めながらの月見酒!出だしからサイコーです。
さて、ここで終われば一般観光で終わりです。そうは問屋が卸さない。明日からの下見もちゃんと済ませていますよ~。日が変わって遡行初日。竹宇駒ケ岳神社に1台車をデポり出発地点である尾白林道のゲート(日向山登山口付近)へ移動。ジャラ類(登攀具など)を身に着けいざ出発!!
と、思いきやK山氏がぼそっと「ザイルは?」いや~幸先いいですね。竹宇駒ケ岳神社にデポった車に残置してきたらしい。回収に30分。この出遅れが功を期すとは・・・。
入渓までは長い林道歩き。昔は探勝道として利用されていたらしいが今は見る影もまばら。人智など自然界においていかに無力なものかと思い知るような光景の連続だ。
そんな林道も終点に息づまる。そこから谷に向けてFIXロープ(固定された残置ロープ)が設置してありそれにしたがって川床へ降り立つ。








 尾白川の印象は黄緑!これがかの有名な?尾白(おじら)グリーンか!南アルプスの天然水は天然の着色料で黄緑色だったんですね。深い釜を擁するいくつもの滝群はどれも簡単に直登できる。途中遠見滝を巻を右岸に取ったがため5mほどの懸垂下降を強いられる。これはリードである僕のミス。反省です。(以降チームメイトと協議しながら巻道を選択していった・・・。)
遠見滝を巻きおえると黄連谷と尾白川本谷との出合い。ここからが本来目的とする黄連谷なわけです。出合いの滝もきわどく右岸のトラバースで攻略。高巻きも随所に独特のいやらしさを持ち合わせていた。そうこうするうちに本日一の大滝、千丈の滝に出合う。60mはあろうかという4段?滝。最下段の下に立ちルートを探す。するとK山氏が「あれ」と指差す。その向こうにはBDの新しいメットが残置してある。いや、残置ではない・・・。メットをよく見ると大きく割れて破損している。 「あ~」色んな想像はできる。ただ吉兆ではないことだけはわかった。その後の高巻きの途中にも自然に帰りつつあるアイスアックスを発見。「なるほどそういう場所か」と変に納得しながらなおも遡行する。そうここは”死”が当たり前に存在する谷である。そう思い知らされる出会いだった。




高巻きを終え間髪入れず坊主滝(40M)出現。写真で見るよりもスケールは大きく直登など考えられない代物。セオリー通り左岸のルンゼより高巻く。踏み跡を見失わないよう、滝を巻すぎないよう辿るとちょうど落ち口ぴったりに高巻きすることができた。比較的間違いの多い高巻きだが、巻のセンスは小坂の滝に磨かれているためなんら苦労はない。(おごりすぎか)坊主の滝を巻終えるといよいよ本番。眼前には高い位置から滝が落ちている。「あれが右俣への入口か・・・登れんな。」そう絶望しながら若干高度を上げると向かって右側に滝が。

これがいわゆる右俣出合の15M滝だった。ここから登攀の始まりである。とはいえリードでロープを出すほどでもないしセカンド以降をビレイする様な場所では無かった。そのままスイスイ登り後続を待つが一向に来ない。「まさか!?」と思い滝上の残置ハーケンにセルフビレイ(自己確保)を取り下流を覗き込むと滝手前のスラブ状の滝(斜めの岩肌に水が垂れる滑りやすい場所)で難儀している模様。落ちてくれるなと祈りながらもトップで登ったのにザイルを担がなかった自分を呪った(降りる事すらできない)しかしなんとか鬼門を乗り越え全員右俣に降り立つことが出来た。時間は14時。この先に待ち受けるであろうはこの谷の最難関?高度差200Mに渡る奥千丈の滝である。そこに突っ込むか否か・・・。急峻な谷ではすでに日はかげり夜が近い。そこを無理して最難関につっこむよりも翌日気力も体力も溢れているであろう時間に通過すべきと割り切り今夜はここでビバーク。今宵も明るい月に照らされながら不安を胸に眠りにつく。明日無事に生きてこの谷を抜けられるのだろうか・・・。不安で寝つきは良くなかったことは言うまでもないだろう。



2015年9月25日金曜日

挑戦の秋へ

沢登のシーズンが終わったと思ったらハイキングの大波が押し寄せてきた。10年に一度のシルバーウィークの大型連休。なめていました。結果的に18日~24日まで期せずして毎日山(溶岩台地の森)に身を置くことになりましたわけで・・・。今年は夏休みが2回来た。そんなかんじでしたね。
てなわけで例年シルバーウィーク前後に絡めて遠征を企てていたわけですが今年は繁忙期がだだかぶっていたこともあり1週間ずらしての遠征と相成りました。
2013年の兵衛谷完全遡行以降はあまり冒険的では無い遠征遡行でした。ただ昨年赤木沢を遡行した後にすぐ次年はハードルを上げようと決心。2015年早々に目標を南アの名渓・黄連谷右俣に焦点を合わせる。前哨戦を踏まえて6月に小坂の中でも比較的登攀色の強い椹谷での合宿をした。その後シーズンを通して沢登ガイドに明け暮れ今に至る。あっという間過ぎて気持ちが付いてきていない。フィジカル的には十分に闘える能力を養ってきたとは思うけど、メンタルが出遅れている感じが否めない。でも振り返ってみれば毎度そういうものさ。むしろ何とも思わないような遡行に意味はない。少なからずどんな沢に向かうにせよ独特の緊張感がある。またそれが気持ちいいものでもある。(やはりドMか。)行かなければそんな緊張感はないし苦しみからも解放される。でも僕は行く。自らの意志で行きたいと思う。視野を広げ、視座を変えおのれの立ち位置を再確認。おのれの弱さに向き合う旅。学び多き沢旅が目の前に迫ってきた。パッキングしだしてかれこれ2週間。あーでもないこーでもないと選りすぐられた魂の道具達を並べる事で遡行への意欲を鼓舞される。
さぁ勝負だ。今年も負けないぞ~!
全部必要。この谷にはね。

2015年9月4日金曜日

終わらない夏

前回更新から一か月・・・。そんなに経ってしまったのね。でもやってることはさして変わりません。明けても暮れても沢な毎日。今年の夏はとにかく天候に恵まれすぎている。お陰様で盆前までにつぶれたツアーはほとんどない。ありがたいことです。ただ8月前半は「このままいったら体が持たん」という感じだったので8月17日の大雨はある意味救いでした。(昨年同日は悪夢の始まりだった)2015シーズンは昨年からのやっさんに続きタカも仲間に加わり&more今年も来てくれたi-nacのしまとぅーには大いに助けられ、なんとか連日お客様を受け入れる事が出来た。感謝に尽きない。一人では決して到達できない領域だった。残すところあと1週間強。短くも長い沢のシーズンも終わりを告げようとしている。そして今年もまた小坂の滝を遠くから見る遠征がまじかに迫っている。
今年は南アルプスの天然水求めて旅に出よう。うんそうしよう。(写真は昨年の赤木沢・・・。)