2022年11月28日月曜日

白山の名瀑・百四丈の滝(無積雪期)初訪問

2022年 10月19日(日帰り)

メンバー ホラ・くま


もう何回目やねん!とつっこみが入りそうなくらい今年はよく通った百四丈の滝。今年だけでも積雪期に3回、そして今回初となる無積雪期!本年4回目です、はい、大好きすぎでしょ(笑)そう、そんなに足を運びたくさせるほど魅了してやまないのが百四丈の滝なのだ。

もちろん今回も相棒はネイチャーフォトグラファー・ホラ!こんなマニアックな山行に付き合ってくれる山友は彼だけだ(笑)

さて、無積雪期の百四丈滝アプローチは2通り。積雪期同様尾根から滝つぼに降りる方法。もう一方は沢通し。尾根からのルートはやぶ漕ぎがひどいようなのでできれば避けたい。そして沢通しで行くことで百四丈滝だけではなく、前衛の黒滝にも出会うことができる。というわけで迷わず沢通しで向かうのであった。

ただ今回、落とし穴が。新岩間温泉までの林道が災害により通行止めとなっておりただでさえ新岩間温泉からの丸石谷林道も長いのに、これにゲートから新岩間温泉までのロードも合わせると輪をかけてさらに長くなる。これなら尾根通しのほうがずいぶん短そう。でもここは沢ヤの端くれ。意地でも沢通しを選ぶ。

そして長いアプローチにはつきもののE-Bike.今回もその力を借りることに。おかげでめちゃくちゃ時間短縮になったことは言うまでもない。もう僕らの山行には必需品だな(笑)

結局新岩間温泉を通り過ぎ、楽々新道取りつきもさらに1kmほど超えたところまでアプローチできてしまった!これがなければたぶん1泊確定だと思う。

林道は長い。ところどころ谷が氾濫し大岩がごろごろ転がっており、この夏の水害の規模の大きさを垣間見た。

林道も終わりやっとで入渓点にたどり着くころには日も高くなり始めたが、入渓点には霜が降りている。いかにも寒そうな雰囲気。稜線では雪も降ったような寒い晴れた朝なので谷の中も霜が散見された。

入渓点の堰堤

最初に2本堰堤を越えればあとは河原歩き。まーまー長い。そしてつまらない・・・。たまに見る魚影にテンションは上がるがもちろん竿など持ってきてもいないので黙々と上るのみ。

途中で見つけたハート貫入に萌える


谷が狭まり側壁がせりあがってくるとやっとでゴルジュっぽい地形に突入した!そこからの展開は早かった。前衛となる多段滝を左から小巻にするといたるところにマーキングや虎ロープが散見された。巻き道をそれ開けた小尾根に出ると眼前に立ちふさがるように幅10m×高さ40mはあろうかという黒滝が現れた!

ゴルジュの入り口滝


黒滝


迫力もさることながら端正なその姿に思わず「かっこいいー!!」が喉をついて出た!ほぼ下調べ無しのオンサイトで来ているので写真などでも見ていなかったことも助けてその姿に感動!!やっぱ沢通しが正解だね。

とはいえ、ここがゴールではない。これを越えなければ目当ての百四丈の滝にはたどり着けない。ここからの巻きは斜度も増し大きな巻きとなった。灌木はしっかりしているので高度感はないもののトラバースラインでは滑落の危険もある場所もあり通過に慎重を要する箇所があった。僕らはチェンスパ履いてたおかげでノーロープで沢底まで降りることができた。

黒滝の落ち口


黒滝の頭に出るとまたも沢は平凡になる。しかしそこから程なく滝のしぶきを見る。おーついにきたかー!近づくにつれそれははっきりと姿を現した!!冬には決して見ることができない立ち上る水しぶ。そしてまっすぐに落ちる水柱。もうこらえきれません「きたーーーー!!!!」思わず雄たけびを上げたくなるその光景は僕が想像していた何倍も美しく、力強く、そして神々しかった。

近づいてきたよー!


嬉々として滝つぼまで駆け上るようにたどり着くとそこはもう氷の世界が始まっていた。透明の薄氷でコーティングされた石はツルツルとよく滑る!!油断するとずっこけて骨折するのではないかというくらい危険な河原が一面に広がっている。

きたー!百四丈!


しかしそんなもので僕たちの情熱の炎を鎮めることはできないのだ。上にいったりしたに行ったり裏に回り込んだりもうありとあらゆる角度から嘗め回すように滝を堪能した。

氷の滝つぼの始まり!?

裏見の滝のスケールが半端ない

日が当たるまで2時間滞在したぞー!

おなか一杯になった僕たちは百四丈の滝を後にした。そしてながーいながー帰り道をかえりましたとさ。兵たちが夢のあと・・・・。次回は泊りでこよっと!





【備忘録】大井川西俣塩見沢

2022年10月2日~3日

大井川西俣塩見沢(1級下?)

メンバー:ヤマP&くま


 毎年恒例、ヤマPと秋の泊まり沢企画。お互いもう四十路目前にさしかかり沢に求めるものも変わりつつあるわけで・・・。そんなわけで今回は沢も短めで難しいところが無いゆるい沢をご所望。計画時まだ登ったことが無い塩見岳へ詰め上げる沢はないかな~とっ見ていたところよさげな沢を発見。先月訪れた赤石沢のさらに上流、大井川西俣塩見沢。長大な大井川の源流の一角をなすエリアだけに期待が膨らむ。さて、今回はどんな沢旅になるのかな!?


いざ、塩見岳へ!

前日まで西穂独標2日間のガイドで西穂山荘にその時は朝は冷え込み霜が降りていた。今回もきっと寒くなるだろうと覚悟してAM3時に小坂を出発。鳥倉林道の駐車場までは小坂から3時間半の道のり。南アルプスになかではまだ近いほうだな。駐車場にたどり着いてびっくり!ゲート直前の第1駐車場はおろか2kmほど手前にある第二駐車場も満車そこに至るまでの路肩にも隙間なく駐車されている。塩見ってこんなに人気の山なん?と思うほど。

かろうじて第2駐車場(とはいえ路肩)にねじ込み何とかセーフ。今回最大の関門は辛くも突破できた。第2駐車場から登山口まではほぼ舗装路でゆるやかに登り道。片道1時間強でたどり着いた。登山口にはチャリがたくさん。やっぱりここも時短のためにはチャリが有効ってことだね。まぁ1時間くらいなら歩いても別に苦では無いけど。



登山口から三伏峠までは樹林の中をひたすら登る。天気はいいが気温は低く息を切らしながら登るにはちょうど良い気候。かいた汗もすぐに冷えて気持ちがいい。
三伏小屋にたどり着くと小屋閉め作業で忙しそうにしている。夏山シーズンの終わりですね。

三伏小屋からは目指す塩見岳がようやくお目見え!このまま稜線を歩けば最速でたどり着けるけどそれでは面白みに欠ける。そう、今回は沢からの塩見がテーマ。まずは明日登る沢まで下らなければならないのだ。ピークハンターからしたら、せっかく上ったのにわざわざ沢を下って、さらにまた沢を登って頂上を目指すとーっても非効率、かつ、無駄な行程。しかし、この無駄と非効率にこそ意味がある!それが沢屋なのです。

そんなことは当たり前なので何も気にすることは無くすたすた三伏沢を下りに掛かる。最初は水場に向けて整備された登山道、その後も登山道の名残を辿り、もともと三伏小屋があったとされる場所を過ぎれば、あとは沢通しにすきに下るだけ。



それにしても道中はゴミをよく目にする。しかも小屋跡を通り過ぎてからおびただしい量の林業廃材や昔のキャンプで出たゴミが散財しているのが目につく。せっかく美しい沢なのになんだか残念な気分になる・・・。

1時間も下ると権右衛門沢との出合に到着した。いよいよ大井川西俣の源流。わくわくしながらたどり着いたそこは、想像とは大分違った。空中には集材用ワイヤーが張り巡らされ、それが朽ちて落ちたのか延々数キロにわたってワイヤーが沢床に散乱。ワイヤーが付いたまま放置された集材機、いたるところにある小屋掛けの跡や一斗缶などなど。規模のデカイゴミがあちこちに。もー、源流の雰囲気は丸つぶれだ!



これは帰ってから調べたのだけれど、このあたりは昔から林業が盛んだったので下流には拠点となるような集落がありそこから随分刈り込んでいったようだ。にしても、施業しないならちゃんと片付けた方がいい。うん、絶対その方がいい。小坂でも森林鉄道が廃線になってその廃材が山中に残ってるけど、その比じゃない。これはひどい。

げんなりしながらも来てしまったものは仕方がない。これはこれと受け入れたうえで、気を取り直して。ここからは今夜の宿をみつけるためにぐんぐん沢を下る。計画段階で目をつけていた広河原にたどり着くと、なんとそこはキャンプ場だった!と、思うほどそこら中に焚火の跡や石組みした跡が随所にみられる場所にたどり着いた。沢はイマイチだけどキャンプサイトは超一級品。薪は豊富、地面はフラットで苔むしているし、水場は近い。これほど恵まれたサイトは今まで泊まったことが無い。




さっきまでの下がったテンションも、最高のテンバのおかげで爆上がり!どこもかしこみお目移りする極上サイトの数々。もちろん他に誰もいないので選びたい放題♪
しっかり吟味すること20分。ここ!と決めた場所は20平米のリビングと、キッチン(かまど)付き、さらに薪一晩保証済みの超優良物件。最高の一晩を過ごせたことは言うまでもない。

空けて二日目。5時起床で焚火を起こし直し7時までのんびりした。いよいよ本番、塩見沢を詰めての塩見岳へ出発!本流を出合まで戻り塩見沢に入るとすぐにイワナが目につく。一段登るごとに魚影は濃くなり、小さな滝の滝壺にはうようよ泳いでいる。どうやら産卵のために集まってきている様子。やはり腐っても大井川源流。イワナはたくましい!

塩見沢の渓相はいたって平凡。滝らしい滝もなく、ぐんぐん高度を上げていく。詰めの目標である天狗岩と本峰のコルにたどり着くためにはいくつかの分岐を正確に読み解かなければいけない。地形図を見ながら登っていく。しかし、案の定やってしまった。地形図上はうっすら沢地形になっている二股に気が付かず見過ごし、水流のある沢を詰めた結果、コルに向かう沢を通り過ぎ随分さかのぼってしまった。ここで尾根を越えて正しい沢に戻ることも考えたがすでに濃い藪に阻まれ尾根を横断するきにはなれない。仕方がないので天狗岩から分岐する尾根に取りつき塩見小屋側に伸びる縦走路を目指すことに。ハイ松が濃くトラバースもやっかい。気合で漕ぎきりなんとか露岩に乗るとそこはすっきりした尾根。尾根を少し上ると目標にしていた地点に難なく出ることができた。そしてこれにて本日の遡行は終了。
あっけない沢登りだった。




稜線はいつの間にか曇り空、吹く風も冷たく、秋が深まったことを感じさせられる。
さて、ここからはピークハント。荷物をデポり、塩見岳山頂を目指す。

天狗岩を登って目的地だった本峰とのコルにようやくたどり着く。上から見てみるとすっきりとした沢。でも下の方にいくにつれ樹林も濃くなり、結果ここを詰めても藪漕ぎになったのかな、と採らぬ狸の皮算用(汗)あとは本峰の岩場に取りつきサクサク登ればまずは西峰。そこからちょろっと歩けば最高点の東峰にたどり着いた!




当たり前なのだが、普段御嶽から見るよりも富士山近くがめちゃくちゃよく見える!やっぱりわかっていてもテンションがあがる。そして景色より何よりヤマPがわざわざ山頂で食べようと持ってきた粉々のわさビーフが最高だった(笑)長居したいところだけど明日からの仕事(3時発で空木岳)が待っているので下山も急ぐ。山頂から三伏峠まではまぁまぁある。しかもわりとアップダウンもあるし。三伏峠につくころにはそれなりにヨレたけどまだまだヨレヨレではない。てなわけで三伏峠からの下山は駆け足!しまいには林道は全RUN(笑)結果的にこれのおかげで翌日の空木岳は大変だった(苦笑)

駐車場に着いたのは15時。なんとか許容範囲内だ。なんとか予定通り(?)の旅ができたけど赤石沢を経てからではこの行程ですらかなりゆる旅に感じてしまう。しかしながら南アルプスの一角を沢から山頂に詰め上げるという過程を愉しむことはできたことと、沢泊でのんびりできたことは満足した。きっとまたこんな沢旅をするんだろ~な。ゆるーく沢泊、はまりそう(笑)