2018年11月19日月曜日

[備忘録]巻機山 登川米子沢

月の半分以上を山で過ごす日常も過ぎ去れば非日常。懐かしく思う今日この頃。今回の備忘録は山漬けな今シーズンにおいて初めてにして最後の完全プライベート沢旅。

長らく保留リストに残り続けていた上越の名渓・米子沢、ついに今年遡行のチャンスに恵まれた。

相棒はいつもの貝山氏。久しぶりの二人での沢旅だ。沢を始めたころは2人ともまだ20代だったはずがいつしかアラフォー。その間沢に向き合う姿勢も少しずつ変化してきた。今年は挑戦というよりかは観光分、ほぼ下調べゼロで乗り込んだのだった。



巻機山の米子沢といえば沢ヤの中では超メジャー級の沢&初級の沢として人気のルートで知らない者はいないほど!?僕も以前から貝山氏よりそのことを聞いていたが、”日帰り沢”&小坂からは前泊しないと辿り着けないことがハードルとなり遠征リストからは外れ続けていた沢だった。今年は紅葉と沢をテーマに据えていたのでどんぴしゃで米子行きが決定した。しかも巻機山には貝山父が管理してみえる山小屋がある。さらにそこは入渓点からめちゃくちゃ近い好立地ときた。今回はここに泊まることもひとつの目的で楽しみのひとつ。久しぶりに緊張感よりも旅感が勝る沢旅が始まった。

まずは穂高町の貝山家で伊澄に再会。沙羅ちゃん特性パスタを頂いてから出発。酒だの飯だの買い込み貝山パパの待つ山小屋へ。道中、雨が降りた出したが「ま、明日には止んではれるでしょう!」とお気楽モード。山小屋に着くと早速おやじさんのおもてなしで上げ膳据え膳夕食を頂く、ありがた~い。

ただ晩秋の山小屋にはカメちゃんがたくさん。うす暗いランプの灯りなので薄暗く、かえってましだが、たぶん小屋の中には軽く1000匹は彷徨してるのではないかというほどのカメパラ(カメムシパラダイス)。食事中も寝る時も頼んでもないのに常に側にいてくれる。そのためちゃっかり一匹カレーライスに潜り込んで一緒に踊り食いしてしまったわけで…。
そこそこ呑んでシュラフに潜り込み就寝。カメちゃんの香りと薪ストーブの煙の薫りが良い眠りのアクセントになった。



目覚めて翌朝。天気はイマイチ。というか雨!天気予報では快方にむかう予定だがどうなることやら・・・。ただ、ここでやめる選択肢はないし行くっきゃない。
登山口に着くとすでに何台も車が止まっている。平日にも関わらずこの賑わい、巻機山の人気がうかがえる。沢装備を整えレインを着こんで出発。登山口を背にして米子沢添いの林道をしばらく進むとご丁寧に米子沢入口の看板。ここで入渓砂し遡行開始。序盤はずーっとゴーロ帯。だんだんと水が流れ始めてようやく沢登りらしくなってきたなというところでナメ滝沢出合到着。ここから上流ゴルジュの様相だ。雨で岩が濡れているし直登する気もサラサラ無いので巻道に突っ込む。

さすがメジャー沢。踏み跡は固く踏みしめられ一般道並みに快適。途中大滝(40m)らしきものが霧の中に垣間見られ幻想的だ。巻道は急な場所もあるが概ね歩きやすい。巻き終えると本格的に沢のスタート。次々と現れるナメ滝、ただ天気さえよければきっと快適なのだろうな~と思いながらヌメる沢床に注意しながら進む。滝はどれも直登できそうな代物。そうでないものも巻道が明瞭にあったりでオンサイトながらも全く不安なく登れる。


しかしツバメ岩を過ぎいよいよ中流部ゴルジュ突入というところで痛恨のミスを犯す。ゴルジュ入口の滝を支流から巻き越えるとルートにバツ印が。それを避けて進むと道がなくなった。そこには残置支点がありどうやら懸垂して沢床に降りるようだ。「初級の沢で懸垂は無いわ、間違いでしょ」と早合。そう、この時点で僕たちは取り返しのつかないミスを犯した。

最初は明瞭だった踏跡も次第に薄くなり、やがては消滅した。ただその時点では戻るには遠すぎるしこの先行けば簡単に沢に降りれるだろうとナメてかかっていた。しかし期待とは裏腹に、いつになっても傾斜は緩まず谷にからは遠ざけられ、ぐんぐん高度を上げるこおしかできなかった。「甘かった…。」と思うが時すでに遅し。こうなるとむしろ、「久しぶりに思い切り藪漕ぎしよーぜ!」と開き直るわけで、2人とももくもくと笹の海を文字通り”漕ぐ”ように進む。朝露に濡れた藪漕ぎのおかげでシャワクラした並みにずぶ濡れ(笑)やけくそ半分愉しさ(?)半分。二人とも思う存分、上越の笹薮地獄をEnjoyしたのであった。巻道はところどころ薄い踏み跡や、古い刈り払いの跡などが散見された。かつては巻のルートだたのかもしれないと思う場面もちらほら。でも今は絶賛廃道中。もがくこと一時間強。永遠とも思われた藪漕ぎにも終わりはあった。ゆるやかそうな斜面を下降するとやっとでゴルジュ出口の滝に降り立つことができた。いやーもうお腹いっぱいですわ。



ここからは天国のナメとも形容されるほどの米子沢のハイライト、通称大ナメというポイント。確かに素晴らしいナメ床が延々と続く。しかしガスガスで10m先しかみえな~い(泣き)ま、そんなこともあるさ。ガスの切れ間から稜線の草原がチラチラみえ始め、ここから源流まではそんなに距離は無い。でもそのわりに水量はまだまだ豊富で、しぶとくいつまでも滝がある感じ。いや~さすが豪雪地帯の山。保水力が半端ない。


奥の二股は巻機山頂に突き上げる右股、避難小屋へ抜ける左俣の分岐。右股には植生保護のためか通行止めのロープが張ってある。左股を詰めると藪漕ぎなしで素直に登山道に詰ることができた。登り4時間で避難小屋に到着。カップラーメンと貝山パパの男気オニギリで腹を満たし早々に下山。今回唯一踏んだピーク”ニセ巻機”のネーミングにこの山の不遇さを感じざるをえない。せめて前巻幡とか、もっとましな名前があっただろうに…。

ぐんぐん高度を下げるとやがてガスが切れ山麓の赤い燃えるような紅葉が眼下に広がった。次第に高度を下げ樹林帯に入ると今度は美白の幹が文字通り林立するブナ林。どうやら米子沢のハイライトは下山に待っていたようだ!

今回は紅葉のベストなタイミングで訪れることができ、沢では残念な思い(?)をしたけれど十分満足な秋の遠征となった。ありがとう巻機山!!!またくるよ、今度は間違いなく沢通しで歩きたい(笑)総じて良い沢・良い山でした。














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