入渓前の計画段階で、今回の遡行を大きく分けて4パートに区切っていた。まず下流部として入渓点~北沢出合。大きな淵やゴルジュが連続し、水量が突破のキーになる。続いて北沢出合~獅子骨沢出合までの中流部。こちらは滝の登攀や高巻きが肝となる。そしてお楽しみイワナの桃源郷と目される上流部は獅子骨沢から上流で、最後の二股を百間洞に進路をとり、稜線に詰め上がるまでとした。そして最終区間で鬼門の下山路。下山というより、もはや縦走といっても過言ではない。百間洞山の家から赤石岳山頂を踏み、東尾根を椹島まで下る。登山ならこの区間だけで丸1日使うところ。
さて、そんな4つのパートを2泊3日で抜ける計画。しかも今回はイワナの桃源郷でイワナ祭り(!?)がサブテーマ。そのため僕たちは初日にがんばって距離をかせぎ、核心の中流部を片付け、2日目は短い行程でぞんぶんにイワナと戯れ百間洞出合に宿泊、沢中2泊で満喫し、その代償として最終日は百間洞を登り、さらにその後地獄の下山を心行くまで味わうという距離的にはまったくもって不均等な計画を立てた。
さて、少々無理と無駄(あそびごころ♪)のあるこの計画にのっとり北沢出合の休憩を終え、いよいよ核心部へと突入していく。先ほどまでの明るい渓相から一転、谷は急激に狭まりゴルジュ帯となる。滝も次第に高さを増していく。そして当たり前だけど取水堰堤を過ぎたので先ほどまでの水量と比べて格段に多い!滝も迫力が違う。
高さは無いがものすごい水量の豪瀑 |
いくつかの滝を越え、谷が一段と狭くなった。谷はかくっと左に曲がり側壁はそそり立ってきた。なにかくるぞー、そして曲がったその先にいよいよ落差20mはあろうかと言う巨大な門の滝が登場した!!巨大チョックストーンの左右から水が勢いよく吹き出し下部で立体交差している。滝つぼも恐ろしく深く前衛滝を伴い2段構成の釜。上から見ると虹がかかって見えた。しかしまぁ、ものすごい迫力だ!
門の滝を俯瞰するポイントに出た! |
文字通り門のようなこの滝。これを突破しないことには先には進めない。この滝越え方は二通り。右岸の場合は草付きバンドを登り落ち口めがけてトラバースする。もうひとつは左岸の草付きを斜上し滝の頭に出る方法。左岸は見るからに支点となりそうな木が無くノーロープで突っ込むほかなさそう。一方右岸のバンドは立って見えるけどなんとかなりそうな角度。岩にもクラックがあるのでカムは効きそう。ということで安全を取って草付きバンドから攻略することに。右岸から枝沢が合流するバンドの基部に行くまでもきわどいトラバース。ホラくんのリードで登攀開始。こともなげにホラくんはスイスイ登っていく。しかし最初の支点がとりずらそう。結局後から聞いてもまともな支点は5mほど登った灌木くらいだったよう。バンドのトップまで登りピッチを切った。僕はセカンドなのでらくちん♪ユマーリングで登るのだ。が、しかし今回使用したロープが7mmだったため、アッセンダーにタイブロックを使用して登り始めたらストンストン落ちる。そう、タイブロックは8mmまでが対応範囲だったのだ(泣)結局アッセンダーとしての意味は全くなく、ほぼ確保無しで登る羽目に。登った感触として草付きだけに足場が見極めにくく適度なスタンスが乏しいのでリードで登るには灌木までが核心。そこまではカムの利きも悪くほぼ確保できてないのと一緒なので要注意。
草付きバンドを登る |
バンドの頭から落ち口上をトラバース。こちらもホラくんがそのままロープを引っ張る。落ち口上に降りるところが悪い。全体的にぬめぬめで草付きバンドよりリードは悪かったと思う。セカンドはお構いなしだけどね。
落ち口上にある小滝めざしてトラバース |
この登攀に1時間を要した。まず一つ目の、いや、最大の核心を突破できて一安心。小滝の上で大休止。ここからは間髪入れず次々と難所が続く。続いて登場したのが巨岩で構成された洞穴を伴う10m滝。ここはエイドクライミングで越える。まずは空身で僕が突っ込む。洞穴内部に垂れ下がる残置スリングを利用し1段上がる。真っ暗でヘッデンを出したいところだが足の感覚だけでもステップは探ることができた。そこから人一人通れる穴を抜けて外に出る。外側に出ればあとは簡単と思いきや最後の抜けが悪い!外傾の大岩に阻まれ一手が怖い。リングピンでランニングを取り、思い切ったムーブで乗り越えた。後はいったんロープを巻き取り外側から荷揚げをした。
右の洞穴の中をエイドで登った |
大ガラン。奥に見えているチョックストーンの滝を右から越える |
一等地の1LDK |
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