2020年10月29日木曜日

【備忘録】濁河川兵衛谷踏査

最後に兵衛谷の在りし日の姿を見たのは多分2017年の9月。龍門の滝へのアテンドが最後だったか。その時は噴火に伴い発生した土石流の影響で滝の釜は埋まったものの渓相の変化はそれほどなかったことを記憶している。しかし去る2018年6月28日未明、総雨量1000㎜ともいわれるその局地的な大雨によって御嶽の山体は削り取れれ大規模な土石流を発生させた。その奔流は下流域まで一気に流れ下り僕の住む家の前を流れる濁河川に達し、それはまるで雷鳴にも似ていた。鳴りやまない雷鳴よろしく轟音と、家の中にまで漂う土臭さに飛び起きた。窓の外に見た今にも氾濫しそうな濁河川の姿に慌てて家族をたたき起こし着の身着のまま避難したことを今でも鮮明に覚えている。

その災害から1年、濁河川をはじめ被害の大きかった椹谷などの一部については、車両でアプローチできる場所に限って我々NPOによって踏査・現状を把握し、一部のコースは復旧し案内できるようになった。しかしそれらがおよばぬ奥山のコースについては被害状況すら確認できていなかった。特に兵衛谷中流部はアプローチが困難で手が付けられずに一年が経ってしまっていたことに自分の中ではやるせなさを感じていた。

そんなさなか、夏の間スーパー助っ人として滞在していた見た目浮浪者(いや失礼)しまとーが兵衛谷を詰めてみたいと言っていたのを思い出し一念発起。
シャワクラのシーズン中にも関わらず間隙を縫って1泊2日の兵衛谷踏査を強行したのだった。今回の相棒はもちろんしまとー。踏査とはいえ大好きな沢泊沢登り。否が応でも気持ちは高まる。さて、どんな沢旅になることやら・・・。




今回の計画はこうだ、兵衛谷・濁河本谷の出合から遡行し兵衛谷→シン谷と詰めあがり賽の河原へ抜け、そのまま摩利支天山乗越経由で五の池→濁河登山口へ下る少々ハードな計画。しかも今回は遡行期間中シャワクラの仕事で車両を使うため濁河から下界に戻るすべがない。そこで思いついたのが自転車。工程はおおむね下りというものの随所に上り返しがあるアップダウンコース。さすがに泊まり装備全て積んだザックを背負って40kmのアップダウンロードはしんどい。てなわけで観光協会で持っているE-Bike(電動アシストマウンテンバイク)をレンタルし登山口へデポることに。さて、これで帰りも楽しくなった(!?)

スタート前日、入手した情報によるとどうやら取水堰堤が工事のため開門するようだ。これはいかんということで急遽予定変更。出合からゴルジュを泳ぎっぱなしで体力消耗するのはご免、そして今回はコースの踏査という目的のため(!?)下流部ゴルジュはパス。滝めぐりコースでもあるしょうけ滝コースの降り口まで林道を歩くことに。ただ延々林道歩きは意外としんどい。結局兵衛谷本流に降り立つのに2時間を要した。しかし下流部ゴルジュを突破することを考えると半分で済んでいるのでよしとしよう。

ここからようやく兵衛谷の本流。降り立ってみてびっくり。谷底の変化よりもむしろ斜面からの倒木の多さが目立つ。きっとこれは昨年の9月の台風の影響に違いない。豪雨の影響もさることながら台風の影響をこんな谷底までうけているとは。やはりしょうけ滝手前のゴルジュ(オーバーハングの淵から滝のない滝つぼ)までの区間はむしろすっきりしており渓相は美しい。しかしながら水量が多く水線沿いの突破が難しいので高巻き。滝のない滝つぼを見下ろし下降すると谷底から3mが急なガレになっていかにも降りづらそう。しまとーは先陣切手降りるもののプチ滑落。グローブしていなかったため手をずたずたにされて痛そう(苦笑)

ゴルジュの最奥に鎮座する大御所・しょうけ滝(2段25m)を左岸巻きで越えていくと河原は一変して平凡なゴーロに変化する。しばらく歩くと見覚えのある光景に突き当たる。しかしどうも様子がおかしい。以前は深い淵を湛えた3mほどの滝があった場所には滝も淵もなくただ平凡な流れが20cmほどの落差の瀬をもって流れていた。そう。滝が消滅していたのだ。そこには確かに滝があった。しかし今は無い。以前のこの淵は濡れずにパスしようと思うと意外と難しい場所だった。その当時の名残でリングボルトが今はむなしく無意味にアクセサリーのように取り残されている光景に妙に切なさとはかなさを感じぜずにはいられなかった。

その後も増水と渓相の変化に多少難儀しつつも中流部のハイライトともいうべき扇滝までやってきた。扇滝は兵衛谷屈指の奇観、石橋の下を地下で水流がえぐり滝つぼと淵とを隔てる奇妙な光景が楽しめる珍スポットだった。しかし今はその姿はない。石橋は跡形もなく消え去り、あたかも以前からそうであったように大きな一つの滝つぼを擁した滝が鎮座していた。そう、石橋は寸断され消滅した。それが事実であった。それ以上でもそれ以下でもない。ただそれを受け入れ認めるのみ。心の片隅で残念だとも思ったがこれは必然であり人間にはどうもしようもないこと。ただそれだけだ。

その後も遡行を進めたが幾度となく土石流の痕跡や、在りし日の姿とは大きく異なる渓相を目の当たりにしてきたのだが何故か平穏、いや、むしろ驚かないし、傷つかない自分がいた。吹上の滝・屏風滝・岩俺の滝などの豪瀑を越え龍門の滝、袴田滝、材木滝も越えてただひたすらに作業のように確認するかの如く遡行を続けた。だがそこには自分でも意外なほどに何の哀愁もなかった。

かつてゴルジュであった谷中は土砂で埋め尽くされむしろ平坦地となって快適なテン場で一夜を明かし翌日は兵衛谷からシン谷を経て賽の河原に抜けた。渓相はもちろん随所で変化していた。特に長沢出合までの荒れ方は壮絶なものであった。厚さ5m、いやところによっては10mを超える土石の堆積で谷は埋め尽くされかつての姿などみじんも感じられぬ様相だった。

今回は長沢から百間滝へ抜ける最短ルートを選択したがその道中に通過した広大な面積の原生林が無残にもなぎ倒された光景にも出会った。きっとこれは6月豪雨の後、9月の台風の影響であろうと予測がついた。2018年という年は一瞬にして僕の記憶していた御嶽・そして兵衛谷を過去の喪にしてくれた、そんな劇的な変化を与えてくれたものだと改めて感銘?を受けた。
僕たちが今見ている景色は決して永遠ではなく、永遠と思われるものもたかだか人類、いや、有史(2000年そこそこか)でしかない。何千年も何万年もかけてできた光景が一瞬にして無くなることも何十万年、何百万年の長い月日の流れの中においてはよくあることなのかもしれない。でもその一瞬に出あれる確率はかな~り低いはず。

僕は兵衛谷にはなにかしら愛情のようなものすらある。だから変わってしまった姿には多少なりとも、いや、人一倍傷ついている。しかしながら変化が常である渓流において保全はただの人間のエゴだとも思う。だから僕はあるがままを自然に受け入れるし、過剰に悲しみもしない。だってしごく自然なことだから。むしろその一瞬一瞬の変化を目の当たりにできて幸せだとさえ思う。

さて、一部の方はお気づきの通り今回の遡行はとても冷静です。いつもの僕なら情熱的で奮闘的な記述になりがちですが今回は既知が前提の冒険要素がほとんどないいわばトレース(追跡)のような一種”作業”とも呼べる所業。されども随所に傷跡というべきか、痕跡というべきか、豪雨の仕業と思わしきものを随所に見受けられ、既知の中にも新鮮さを得ながら遡行できたことに今回の価値を見出そう。



2018年12月31日月曜日

2018振り返り

平成最後の年はまさに激動の年となった。

夏も終わり沢も山も落ち着き、やっと(半年以上ぶりに)筆を執る気になった。
ということで2018も残すところ2カ月というタイミングですが今年を振り返るとしよう。
(更新は2018年12月31日ですが・・・。)

巌立詣でで始まるいつもの年明け。ただ今年は異常に寒かった!その代わり雪はとっても少ない。おかげで氷瀑は過去最高の出来上がり。3月まで連日取材やツアーに毎日のように雪山にでかけた。



4月に216WORKSを立ち上げ、NPOも理事長が変わり小坂の滝めぐりの運営体制も新しく始動した、そんな矢先に起きた6.28豪雨災害。

思い返せばこれを皮切りに(一部先んじて)6月の大坂北部の地震、7月の西日本豪雨、8月の酷暑(金山は40度!で日本一)、9月の台風襲来(21号が最も大きい被害)。災害また災害。しかも数十年に一度クラスの災害が連発した。



むろん滝めぐりも大きな痛手を負ったわけで。しかし災い転じて福となす!
6月の豪雨被害ではいち早く岐阜県知事も現地視察にかけつけてくださり、そこからものすごいスピードでがんだて公園三ツ滝遊歩道は復旧していき9月の台風でまたクローズしたものの紅葉ハイシーズン前に完全リニューアルしてオープンするに至った。



そして小坂の滝めぐりコースのほとんどがダメージを受けたにも関わらずシャワクラメインコースの赤谷だけは無傷という奇跡!8月の酷暑も功を奏し(?)連日シャワクラな毎日。7月、9月の天候不順にも関わらず過去最高の入込を記録し、今シーズンの幕を閉じた。















また、本格的に山のガイドにも参入!?(けどほとんどヘルプで入っているだけ)たぶん人生で最も日本アルプス界隈の登山したと思う。8月から10月まで北アルプス中心にいろいろ歩き回ったな~。おかげで足壊れた。歳だね~(汗)
















そしてそんな2018年最後の日は御嶽飛騨頂上へひとりお礼参りへ。
















凛とした空気と静寂。改めて御嶽に生かされているのだと思った。

1年の短さに嘆く前に1年後を見据えて今何をすべきかを考える。

さー、2019も張り切って行こまい!!

2018年11月19日月曜日

[備忘録]巻機山 登川米子沢

月の半分以上を山で過ごす日常も過ぎ去れば非日常。懐かしく思う今日この頃。今回の備忘録は山漬けな今シーズンにおいて初めてにして最後の完全プライベート沢旅。

長らく保留リストに残り続けていた上越の名渓・米子沢、ついに今年遡行のチャンスに恵まれた。

相棒はいつもの貝山氏。久しぶりの二人での沢旅だ。沢を始めたころは2人ともまだ20代だったはずがいつしかアラフォー。その間沢に向き合う姿勢も少しずつ変化してきた。今年は挑戦というよりかは観光分、ほぼ下調べゼロで乗り込んだのだった。



巻機山の米子沢といえば沢ヤの中では超メジャー級の沢&初級の沢として人気のルートで知らない者はいないほど!?僕も以前から貝山氏よりそのことを聞いていたが、”日帰り沢”&小坂からは前泊しないと辿り着けないことがハードルとなり遠征リストからは外れ続けていた沢だった。今年は紅葉と沢をテーマに据えていたのでどんぴしゃで米子行きが決定した。しかも巻機山には貝山父が管理してみえる山小屋がある。さらにそこは入渓点からめちゃくちゃ近い好立地ときた。今回はここに泊まることもひとつの目的で楽しみのひとつ。久しぶりに緊張感よりも旅感が勝る沢旅が始まった。

まずは穂高町の貝山家で伊澄に再会。沙羅ちゃん特性パスタを頂いてから出発。酒だの飯だの買い込み貝山パパの待つ山小屋へ。道中、雨が降りた出したが「ま、明日には止んではれるでしょう!」とお気楽モード。山小屋に着くと早速おやじさんのおもてなしで上げ膳据え膳夕食を頂く、ありがた~い。

ただ晩秋の山小屋にはカメちゃんがたくさん。うす暗いランプの灯りなので薄暗く、かえってましだが、たぶん小屋の中には軽く1000匹は彷徨してるのではないかというほどのカメパラ(カメムシパラダイス)。食事中も寝る時も頼んでもないのに常に側にいてくれる。そのためちゃっかり一匹カレーライスに潜り込んで一緒に踊り食いしてしまったわけで…。
そこそこ呑んでシュラフに潜り込み就寝。カメちゃんの香りと薪ストーブの煙の薫りが良い眠りのアクセントになった。



目覚めて翌朝。天気はイマイチ。というか雨!天気予報では快方にむかう予定だがどうなることやら・・・。ただ、ここでやめる選択肢はないし行くっきゃない。
登山口に着くとすでに何台も車が止まっている。平日にも関わらずこの賑わい、巻機山の人気がうかがえる。沢装備を整えレインを着こんで出発。登山口を背にして米子沢添いの林道をしばらく進むとご丁寧に米子沢入口の看板。ここで入渓砂し遡行開始。序盤はずーっとゴーロ帯。だんだんと水が流れ始めてようやく沢登りらしくなってきたなというところでナメ滝沢出合到着。ここから上流ゴルジュの様相だ。雨で岩が濡れているし直登する気もサラサラ無いので巻道に突っ込む。

さすがメジャー沢。踏み跡は固く踏みしめられ一般道並みに快適。途中大滝(40m)らしきものが霧の中に垣間見られ幻想的だ。巻道は急な場所もあるが概ね歩きやすい。巻き終えると本格的に沢のスタート。次々と現れるナメ滝、ただ天気さえよければきっと快適なのだろうな~と思いながらヌメる沢床に注意しながら進む。滝はどれも直登できそうな代物。そうでないものも巻道が明瞭にあったりでオンサイトながらも全く不安なく登れる。


しかしツバメ岩を過ぎいよいよ中流部ゴルジュ突入というところで痛恨のミスを犯す。ゴルジュ入口の滝を支流から巻き越えるとルートにバツ印が。それを避けて進むと道がなくなった。そこには残置支点がありどうやら懸垂して沢床に降りるようだ。「初級の沢で懸垂は無いわ、間違いでしょ」と早合。そう、この時点で僕たちは取り返しのつかないミスを犯した。

最初は明瞭だった踏跡も次第に薄くなり、やがては消滅した。ただその時点では戻るには遠すぎるしこの先行けば簡単に沢に降りれるだろうとナメてかかっていた。しかし期待とは裏腹に、いつになっても傾斜は緩まず谷にからは遠ざけられ、ぐんぐん高度を上げるこおしかできなかった。「甘かった…。」と思うが時すでに遅し。こうなるとむしろ、「久しぶりに思い切り藪漕ぎしよーぜ!」と開き直るわけで、2人とももくもくと笹の海を文字通り”漕ぐ”ように進む。朝露に濡れた藪漕ぎのおかげでシャワクラした並みにずぶ濡れ(笑)やけくそ半分愉しさ(?)半分。二人とも思う存分、上越の笹薮地獄をEnjoyしたのであった。巻道はところどころ薄い踏み跡や、古い刈り払いの跡などが散見された。かつては巻のルートだたのかもしれないと思う場面もちらほら。でも今は絶賛廃道中。もがくこと一時間強。永遠とも思われた藪漕ぎにも終わりはあった。ゆるやかそうな斜面を下降するとやっとでゴルジュ出口の滝に降り立つことができた。いやーもうお腹いっぱいですわ。



ここからは天国のナメとも形容されるほどの米子沢のハイライト、通称大ナメというポイント。確かに素晴らしいナメ床が延々と続く。しかしガスガスで10m先しかみえな~い(泣き)ま、そんなこともあるさ。ガスの切れ間から稜線の草原がチラチラみえ始め、ここから源流まではそんなに距離は無い。でもそのわりに水量はまだまだ豊富で、しぶとくいつまでも滝がある感じ。いや~さすが豪雪地帯の山。保水力が半端ない。


奥の二股は巻機山頂に突き上げる右股、避難小屋へ抜ける左俣の分岐。右股には植生保護のためか通行止めのロープが張ってある。左股を詰めると藪漕ぎなしで素直に登山道に詰ることができた。登り4時間で避難小屋に到着。カップラーメンと貝山パパの男気オニギリで腹を満たし早々に下山。今回唯一踏んだピーク”ニセ巻機”のネーミングにこの山の不遇さを感じざるをえない。せめて前巻幡とか、もっとましな名前があっただろうに…。

ぐんぐん高度を下げるとやがてガスが切れ山麓の赤い燃えるような紅葉が眼下に広がった。次第に高度を下げ樹林帯に入ると今度は美白の幹が文字通り林立するブナ林。どうやら米子沢のハイライトは下山に待っていたようだ!

今回は紅葉のベストなタイミングで訪れることができ、沢では残念な思い(?)をしたけれど十分満足な秋の遠征となった。ありがとう巻機山!!!またくるよ、今度は間違いなく沢通しで歩きたい(笑)総じて良い沢・良い山でした。














2018年10月22日月曜日

笛吹川東沢釜ノ沢(両門の滝まで)

秋深まる甲州。紅葉のベストタイミングを狙っての秀渓。笛吹川東沢釜の沢へのんびり1泊沢旅へ。







山梨でも屈指の紅葉スポットでもある西沢渓谷。
その隣を流れる東沢はかつて甲武信岳(こぶしだけ)への登山道として使用されていた登山道だた。しかし近年荒廃が進み一般的には利用されないバリエーションルート、沢の入門ルートして人気が高い沢だ。

過去に一度遡行した時(その当時は小坂が一番!と思い込んでいたころ)に「なんと美しい場所!これは小坂には無いわ!!」と衝撃を受けたことを今でも新鮮に覚えている。

それからまた時がたち、ある時雑誌の岳人(だったと思う)で見かけた鮮やかな紅葉と紺藍の水、白いスラブの息をのむほどのキレイな写真。それは紛れもなく釜ノ沢のナメ滝だった。この写真を見てからというものの「いつかはあそこに紅葉の時期に再訪したい」と思っていた。

シャワクラに登山にアウトドアにはさんざん身を置きながらも本来大好きな沢登りに全く出かけられないフラストレーション。趣味を仕事にしないほうがいいといううのはこのことかと思い知らされている。しかしチャンスは突然やってきた。ある時今回の参加メンバーの一人から「両門の滝に行ってみたいんですよね~」と聞きつけ、「じゃあ!」ということで山行を企画、そしてこの秋実現!久しぶりの沢泊、紅葉の沢をつまみに焚火と酒を堪能♪もう、出発前からワクワクがとまらなーい!!!

とはいえ10月も下旬。3000m級の山岳では積雪の便りも届き始めるこの季節。
正直沢登りには寒い季節。前のりして車中泊している時も夏用シュラフでは寒さで目が覚めるくらい。

出発の朝は快晴でかつ気温も低い。西沢渓谷駐車場に7時に集合するとすでに駐車場は埋まりかけていた!おそるべし紅葉の西沢渓谷の誘客力。駐車場で出発準備する大勢のハイカーの中にはちらほら沢装備ででっかいリュック背負った輩も見受けられる。その内の一組にさりげなく行き先を尋ねてみると「東沢から甲武信へ」と答える。やっぱりね。その組以外にも複数パーティー入っている模様。さすが人気の沢。しかも紅葉のいい時期だけに西沢ほどではないけど、ある意味、東沢もフィーバーの予感。

僕たちもあーだこーだと準備を済ませ7時半に駐車場を出発。しばらくは西沢渓谷への道を一般ハイカーたちと並んで歩く。東沢にかかる吊り橋を越えたところから入渓。やっと東沢がスタートする。早朝の沢水は冷たく足を水につけないようにF1まで歩いた。しかしF1をのぞき込むためには膝まで浸からねば・・・。仕方ないということでここで初入水。「はう!」・・・。分かってはいるけど冷たいよね~。

F1からホラ貝のゴルジュを抜けるまでは旧登山道を概ね辿る。とはいえほとんど現役の登山道並みに標識(ピンクテープ含む)もありバリエーションというよりはMAPで示される登山道の破線箇所のような印象。前に来た時よりも手厚くなってるな~。

途中いくつか注意が必要なポイントもあるけれど沢慣れた人にはおせっかいなくらいロープや針金が設置してあり問題なく通過できる。大淵と呼ばれる場所を高巻いた後から再び沢に戻る。しばらくはゴーロ歩きでつまらないが支流から乙女の滝が出合うあたりから渓相は一気によくなり支流の東のナメ沢、西のナメ沢などのスケールの大きなスラブ滝が現れいよいよこの本流のハイライトを迎える。スラブに日が当たり白い花崗岩は直視できないほど眩しく輝く。「そうそう、これこれ!」空の青、スラブの白、そして笛吹川の碧。美しすぎる。











今回はのんびりペース。ところどころデンと休みながら進んだので釜ノ沢出合直前にある、いかにも「泊って行きなさい!」と言わんばかりの樹林の中のビバーク地を発見。あんなに晴れていた空が今にも雨が降りそうな感じ。時間も12時半とはやいものの、今回の行程を考えここで先にテントを準備してから軽荷で両門の滝を目指すことに。

準備を済ましいざ出発。「雨よふらないでくれー!」との願いが通じたのか青空すら見られるようになった。釜の沢に入ってすぐいきなりそれは現れる。ぼくはそれを知っていた。たどり着いたメンバーから「わぁ!」と歓声が上がる。そして僕はほくそ笑む「でしょ♪」そう、この感覚、小坂の滝を案内する時の感覚と一緒。やっぱり感動は共有してなんぼだね。

魚留の滝を越えてからもハイライトは続く。すぐ上の曲がり滝は個人的には最も期待していた場所のひとつ。右岸のスラブにはロープがFIXされており、この谷最難関(?)の魚留の滝の高巻はあっさりとこなせてしまった。巻き上がったその先に見える景色に期待を膨らませ林を飛び出すと、、、、う~ん、おしい!!!あと2.3日遅かったか~!!
紅葉はピークを過ぎスラブには沢山の落ち葉が。でもまぁこれも美しいから許す!良しとしよう。











曲がり滝を越えるとこれまたすんばらしー光景が!
釜ノ沢の代名詞(勝手にいってますが)といっても過言ではない千畳のナメ!
これは小坂の孫八谷を越えてしまった・・・・。
どこまでも続くかと思われる文字通り千畳敷のようなナメナメナメ、、、。
水の冷たさは気になるもののずーっと歩き続けたいそんな衝動にかられる。

千畳のナメを越え三段滝の高巻は要注意だ。前回来た時よりも荒れておりスラブのトラバースを失敗すると滝下まで10m滑落してしまう。念のためここは後続をロープで確保した。その後現れる野猿の滝も端正な滝。高巻も問題は無いが高度感がある場所もあるので下りは特に注意した。その後高度を上げていくと待ちに待った両門の滝!
西俣と東俣がひとつの滝壺めがけて流れ込む神秘の光景。やっぱりすばらしい滝です。
思い思いに滝を満喫し30分もすると天気は急激に崩れ雨に。いや~よくここまでもってくれた。感謝こそすれどこの雨を恨みはしない。




目的を達成したのであとはテン場めがけてまっしぐら。ただ雨はなかなか弱まらずどんどん地表は濡れていく。「これはまずいな~薪がしけってしまう!」そんな心配をしらず雨は降り続き、案の定乾燥した薪など得られず焚火はお預け!あー残念。
でもテントに4人すし詰めになってで日本酒だの焼酎だのおのおのもってきた酒で宴会。
寒さも感じずホカホカで寝ることができた。

あくる朝、天気はうそのように回復し快晴の中沢を下る。そう、今回は両門の滝が目的。だからピークは目指さない。昔の僕だったら絶対しない選択だけれどいろんな人に出会い、いろんな価値観に触れるうちに知らず知らずのうちいに身についた楽しみ方のひとつだ。東沢を抜け西沢渓谷にたどり着くと吊り橋には大勢の人が。すれ違い待ちすら発生するほど!昨日に増して人多い!!ごっついリュックにメットをぶら下げ忍者みたいな恰好をした僕らにすれ違う人の視線を集めることは言うまでもない。特に子供ときたら振り返ってガン見する始末。観光地の異物感が半端ないけどこれもまた良しとしよう。

今回は天気にもタイミングにもメンバーにも恵まれ楽しい東沢のまったり旅ができた。
やっぱりストイックに突き詰めるのも大事だけどこうやってゆったりと沢に身を置く体験も必要だと改めて感じた。沢もたくさん、楽しみ方もたくさん。短い人生でどれだけの組み合わせを愉しめるのだろう。きっとそんなに多くは無いからやっぱり一期一会。すべてを楽しみたいそう思った今回の沢旅でした♪






2018年5月25日金曜日

【備忘録】2018冬

いつの間にか気温は上がり、梅が咲き、桜が咲き、はなももが咲き、そして花が散りました。気が付けば山は新緑に燃えすっかり春の様相です。

でもね、僕の冬はやっとついこの間終わりました。

冬の御嶽に眠る隠れた氷瀑、
















夏の面影を偲ばせるかの名瀑


他を寄せ付けぬ日本屈指の輝瀑の冬の姿、


振り返ればこの冬は充実していたのかも知れない。

今振り返れば遠い過去。

でも季節は繰り返す。

また次の冬に出会うときを楽しみに。

さて、夏に向かうとするかな。




2018年3月11日日曜日

ひょーばくへ

ひさしぶりのDAYOFF!

でも例の氷瀑もここ一週間くらい足を運んでいないし

様子を見に行くことにしました。(結局仕事か!)

でも今回はあいぼー付き。

たまたまボウズと休みが会ったので連れていくことに。

ふだんから彼は”氷瀑”という言葉をよく耳にしているせいか

よく”ひょーばく”と口にする。

きっと”ひょーばく”という言葉を発する五歳児は世に稀だろう。

ということで親子DEひょーばくへGO!



















昨日の雨から打って変わってすきり晴れた!

寒気が入って霧氷の森へと早変わり。

ボウズも思わず”きれー!”とうなる。

道中多少疲れは見せたものの良く歩いた。


男の子は”道具”が好き。

「これを持つと無敵になれる」とストックを授ける。

どうやらこれが気に入ったらしく終始なにかと戦いながら進んでいた。

そしてほどなくひょーばくへ。

大人の感動するようすとは違う、何か息をのむような、整理するような

そんな静かな驚きをしていた(ように親からは見えた)

でも空腹には勝てず早々に昼食。



冬の森でカップ麺を食べる、そのうまさに気が付いた五歳児。

そう何事も論より証拠、百聞は一見に如かず。

この子がいったいどんな風に今日の体験を心に刻んでくれたのか、

それは随分後になってわかることなのかもしれない。

けれど悪い体験ではないだろう。

僕にできることはきっかけを作ること。

我が子にもお客様にもそれは同じ。

なんにせよ、下見とはいえ

久しぶりにゆっくり親子みずいらずできて満足。

さて、明日からもがんばるぞ~!!

2018年3月7日水曜日

満開の白華

今年の冬はよく冷えた!2週間前までよく口にしてたセリフ。

とある気象予報士によるとこれだけ寒い日が続くのは三十数年ぶりの寒さだとか。

でも3月に入ってから、いや、2月の最終週辺りからなんだか急激に暖かくなった。

それまで日中マイナスが当たり前の濁河もプラスになる日が多くなり

しまいには雨が降る始末。しかも大雨。

冬なのに雨量規制で通行止めとかありえない事態も発生。

まさに、唐突に冬は終わりを告げ猛ダッシュで、いやむしろ、

ヘッドスライディング張りに春がものすごい勢いで滑り込んできた。

そんな感じです。

でもね、冬と春のこの中途半端な時期にこそ

素晴らしい瞬間がやってきたりするのです。

今回たまたますごーく偶然に良いタイミングで登った位山。

大雨のあと、そんなに強い寒気ではなかったけれど冷えた模様。

北西風の強く吹く尾根では霧氷が枝葉を覆いまるで白い花を咲かせたような光景。

午後になって天気が回復し、そのタイミングで山頂に出た。

そこにはおとぎ話の世界のようなメルヘンチックな光景が!

辺り一面真っ白。風もない音もない空間に

絵画のような白い花を咲かせた木々。

青空の向こうにはこれまた純白の白山。

この光景、涙が出そうです。

登山前に水無神社に参拝したのがよかったのだろうか

なんとも粋な神様の仕業か。

僕はまた一段と飛騨の魅力のとりこになってしまった。

小坂に限らず飛騨の自然には相変わらず感動させられます。

この地に根を下ろし暮らすものには空気のような存在で

意識をして近づいて、触れてみなければ気付かないその美しさ。

住んでいる人にこそ知ってほしい。

この素晴らしい習慣を。

訪れる人には少しだけ見せたい、でも何度も違う瞬間を見せたい。

僕たちの誇るこの飛騨の自然を。

そう思いました。