時は明治。すでに日本の中心は東京に移り変わり人口集中が著しい大都市となっていたことだろう。時の東京市長尾崎氏はその状況を憂え、自らの足でこの奥多摩・奥秩父の山域を踏査し、東京市民の水源たるこの山林を将来のために今保全し、水源を確保しなければならない!と決意し、これらの山林を東京市の管理すべく英断を下したがために、現在に至っても東京水道局がこの地方の山林を直轄している。
そんな東京都民の水源を担う森の源流の沢、今回僕たちは足を運んだ奥秩父の名峰大菩薩嶺東面の丹波川支流、泉水谷小室川谷。谷の両岸は見渡す限りの広葉樹の森。針葉樹はといえば時折ぽつぽつと混じる程度。晩秋ということもあり沢筋の落葉も著しく、そのせいか空はより明るく感じられた。しかしながら沢は西を向き、かつ、谷は深く切れ込み日照がほとんど得られないため対照的に沢床や側壁を構成する岩石は黒く、陰湿な沢色を示している。
今回はそんな秋深まる奥秩父の”想いの詰まった”山・川・森を堪能した。
道の駅たばやまに深夜入り。満点の星空で良く冷え込んでいる。やはり10月も下旬になればさすが奥秩父とはいえ沢登のシーズンも終わりに近づいている。翌朝も快晴!しかし気温は上がらない。今日は沢泊なので時間もたっぷり。しっかり日が昇った7時半に国道脇の駐車場をスタートした。
駐車場から少し下り三条新橋より林道を小室向いまで30分ほど歩く。いよいよここから入渓。以前は橋が架かっていたようだが近年発生したと思われる大水の影響か橋はないし、谷も少しあれたような感じを受けた。しかしながら暗くて寒い谷底。この時期の沢登りは最初に水に足をつけるのが怖い。今回は時期も遅いしヌメリも強いだろうと予測し久しぶりのフェルトソールをチョイス。入渓点は日も当たらないためかヌメリもなくむしろラバーでも行けた感すらあった。
フェルトソールの効きはまずまずだがふだんラバーなだけにいまいちフリクションに自信が持てない。最初の滝は一見すると直登は難しそうで右巻き。巻といっても右壁を直登するような感じ。ルートにはボロイFIXが垂れ下がておりあまり体重はかけたくない代物。できるだけ使わないように登るも、足のフリクションを信じきれないのと荷物が重いのもあいまってこの谷最初で最後の冷や汗をかいた。個人的な核心部は振り返っても最初の巻だった。
その後も滝が連続する。直登できるもの、巻くもの、色々出てきて飽きない。ゴルジュ状の水路を前衛フェルトソールではへつりに失敗しドボンする絵が浮かんだこの滝は右巻き。小さく巻いたつもりが渓に戻るために5mほど懸垂を要した。
本当にこの谷は適度な間隔で滝が出てくる。そしていつまでーも続く両岸の広葉樹に癒されながら進む。そして本日の懸案その一、S字峡がやってきた。深い釜を持った小滝を前衛にどうやらその奥はゴルジュっぽい。夏なら水泳でとりつき水線突破も面白そうだけどもちろん泳ぐ気などさらさらないので左巻き。一段上がったテラスの上にはハーケンや残地シュリンゲが多数。どれを使うかは気分次第♪どれもなかなかの見た目。谷へは垂壁を5m弱の懸垂で降りられそうだが完全に支点に体を預けるのでハーケンをハンマーでたたいて確認。これならいける!という組み合わせを見つけ出しゴルジュ内へ懸垂で降下。ロープを引き抜けばもう後戻りはできない。
S字峡を越え、次なる関門、石門の滝。ここで言う石門はこの滝を越えた先にある奇観。10mそこそこの左壁がどうやらラインのよう。ここは荷を下ろしロープを引いて登った。
上部にはいかにも滑りそうなつるっとしたフェイス。残地ロープはあるものの例にもれずボロイ。これに体重はかけられないということで細かいステップを拾い上部へ抜ける。ボロFIXの結び元を見てみると木の根に取り込まれもう自然に還ろうとしている代物!荷揚げの後大事をとってケンタローをビレイ。振り返ってみても技術的な核心部はこの滝かな。とはいえラバーソールならなんて事の無い登攀ですけどね。
そして現れた石門。写真で見てそうぞうしたよりも一回り大きく感じた。もちろん中を通ってみました。谷はいったん緩やかになるもののまだまだアトラクションは続きます。
はい、出ました、名物”小室の淵”一見して決定。「もちろん巻きで。」右岸のテラスへ上がりゴルジュ内をのぞくとCS滝を前衛に谷はグッと狭まり出口にはいかにも悪相の滝。これを水線突破するイメージが全くわかない代物だった。
上部にはいかにも滑りそうなつるっとしたフェイス。残地ロープはあるものの例にもれずボロイ。これに体重はかけられないということで細かいステップを拾い上部へ抜ける。ボロFIXの結び元を見てみると木の根に取り込まれもう自然に還ろうとしている代物!荷揚げの後大事をとってケンタローをビレイ。振り返ってみても技術的な核心部はこの滝かな。とはいえラバーソールならなんて事の無い登攀ですけどね。
そして現れた石門。写真で見てそうぞうしたよりも一回り大きく感じた。もちろん中を通ってみました。谷はいったん緩やかになるもののまだまだアトラクションは続きます。
はい、出ました、名物”小室の淵”一見して決定。「もちろん巻きで。」右岸のテラスへ上がりゴルジュ内をのぞくとCS滝を前衛に谷はグッと狭まり出口にはいかにも悪相の滝。これを水線突破するイメージが全くわかない代物だった。
雨乞いの滝を前衛に3段40m滝が現れた。雨乞いの滝を左からやり過ごし二段目の釜に降り立つ。
2段目の釜は恐ろしく深い。この谷一の深い滝つぼ。2段目を右から巻き気味に登るといよいよ最難関と称される3段目。傾斜の緩いスラブ滝ではあるが抜けが立ち上がっているのが見て取れた。
2段目の釜は恐ろしく深い。この谷一の深い滝つぼ。2段目を右から巻き気味に登るといよいよ最難関と称される3段目。傾斜の緩いスラブ滝ではあるが抜けが立ち上がっているのが見て取れた。
とはいえ詰めが近づくにつれ傾斜も上がり水が枯れた最後の背の低い笹薮の詰めあがりにはひーこら言った。
登山道に詰めあげると目の前に富士山どーん!僕の詰めあがり沢の一二を争う絶景のエンディング。ここで沢登りは終了です。富士山を見ながらしばし休憩。沢装備を解除しここからは下山モード。
下山途中に大菩薩嶺のピークハント、今回も沢からの百名山ゲット。
あとはながーい、ながーい下り。いつもそうだけど沢からのデカイ山の詰めは下りが核心だと思う。登山道が終わっても林道歩きが延々続く。辟易しながらも、泉水谷の本流沿いに続く道すがら足元の渓谷美に癒されながらなんとか気力を保ちながら下ることができた。泉水谷本流にはいくつものナメや大きな滝もかかり小室川谷よりも迫力がある。本流の丹波川もそうだがゴルジュ具合がえげつない。いつか機会があれば夏場にウェット着てキャニオニングしてみたいような場所であった。
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