2018年10月22日月曜日

笛吹川東沢釜ノ沢(両門の滝まで)

秋深まる甲州。紅葉のベストタイミングを狙っての秀渓。笛吹川東沢釜の沢へのんびり1泊沢旅へ。







山梨でも屈指の紅葉スポットでもある西沢渓谷。
その隣を流れる東沢はかつて甲武信岳(こぶしだけ)への登山道として使用されていた登山道だた。しかし近年荒廃が進み一般的には利用されないバリエーションルート、沢の入門ルートして人気が高い沢だ。

過去に一度遡行した時(その当時は小坂が一番!と思い込んでいたころ)に「なんと美しい場所!これは小坂には無いわ!!」と衝撃を受けたことを今でも新鮮に覚えている。

それからまた時がたち、ある時雑誌の岳人(だったと思う)で見かけた鮮やかな紅葉と紺藍の水、白いスラブの息をのむほどのキレイな写真。それは紛れもなく釜ノ沢のナメ滝だった。この写真を見てからというものの「いつかはあそこに紅葉の時期に再訪したい」と思っていた。

シャワクラに登山にアウトドアにはさんざん身を置きながらも本来大好きな沢登りに全く出かけられないフラストレーション。趣味を仕事にしないほうがいいといううのはこのことかと思い知らされている。しかしチャンスは突然やってきた。ある時今回の参加メンバーの一人から「両門の滝に行ってみたいんですよね~」と聞きつけ、「じゃあ!」ということで山行を企画、そしてこの秋実現!久しぶりの沢泊、紅葉の沢をつまみに焚火と酒を堪能♪もう、出発前からワクワクがとまらなーい!!!

とはいえ10月も下旬。3000m級の山岳では積雪の便りも届き始めるこの季節。
正直沢登りには寒い季節。前のりして車中泊している時も夏用シュラフでは寒さで目が覚めるくらい。

出発の朝は快晴でかつ気温も低い。西沢渓谷駐車場に7時に集合するとすでに駐車場は埋まりかけていた!おそるべし紅葉の西沢渓谷の誘客力。駐車場で出発準備する大勢のハイカーの中にはちらほら沢装備ででっかいリュック背負った輩も見受けられる。その内の一組にさりげなく行き先を尋ねてみると「東沢から甲武信へ」と答える。やっぱりね。その組以外にも複数パーティー入っている模様。さすが人気の沢。しかも紅葉のいい時期だけに西沢ほどではないけど、ある意味、東沢もフィーバーの予感。

僕たちもあーだこーだと準備を済ませ7時半に駐車場を出発。しばらくは西沢渓谷への道を一般ハイカーたちと並んで歩く。東沢にかかる吊り橋を越えたところから入渓。やっと東沢がスタートする。早朝の沢水は冷たく足を水につけないようにF1まで歩いた。しかしF1をのぞき込むためには膝まで浸からねば・・・。仕方ないということでここで初入水。「はう!」・・・。分かってはいるけど冷たいよね~。

F1からホラ貝のゴルジュを抜けるまでは旧登山道を概ね辿る。とはいえほとんど現役の登山道並みに標識(ピンクテープ含む)もありバリエーションというよりはMAPで示される登山道の破線箇所のような印象。前に来た時よりも手厚くなってるな~。

途中いくつか注意が必要なポイントもあるけれど沢慣れた人にはおせっかいなくらいロープや針金が設置してあり問題なく通過できる。大淵と呼ばれる場所を高巻いた後から再び沢に戻る。しばらくはゴーロ歩きでつまらないが支流から乙女の滝が出合うあたりから渓相は一気によくなり支流の東のナメ沢、西のナメ沢などのスケールの大きなスラブ滝が現れいよいよこの本流のハイライトを迎える。スラブに日が当たり白い花崗岩は直視できないほど眩しく輝く。「そうそう、これこれ!」空の青、スラブの白、そして笛吹川の碧。美しすぎる。











今回はのんびりペース。ところどころデンと休みながら進んだので釜ノ沢出合直前にある、いかにも「泊って行きなさい!」と言わんばかりの樹林の中のビバーク地を発見。あんなに晴れていた空が今にも雨が降りそうな感じ。時間も12時半とはやいものの、今回の行程を考えここで先にテントを準備してから軽荷で両門の滝を目指すことに。

準備を済ましいざ出発。「雨よふらないでくれー!」との願いが通じたのか青空すら見られるようになった。釜の沢に入ってすぐいきなりそれは現れる。ぼくはそれを知っていた。たどり着いたメンバーから「わぁ!」と歓声が上がる。そして僕はほくそ笑む「でしょ♪」そう、この感覚、小坂の滝を案内する時の感覚と一緒。やっぱり感動は共有してなんぼだね。

魚留の滝を越えてからもハイライトは続く。すぐ上の曲がり滝は個人的には最も期待していた場所のひとつ。右岸のスラブにはロープがFIXされており、この谷最難関(?)の魚留の滝の高巻はあっさりとこなせてしまった。巻き上がったその先に見える景色に期待を膨らませ林を飛び出すと、、、、う~ん、おしい!!!あと2.3日遅かったか~!!
紅葉はピークを過ぎスラブには沢山の落ち葉が。でもまぁこれも美しいから許す!良しとしよう。











曲がり滝を越えるとこれまたすんばらしー光景が!
釜ノ沢の代名詞(勝手にいってますが)といっても過言ではない千畳のナメ!
これは小坂の孫八谷を越えてしまった・・・・。
どこまでも続くかと思われる文字通り千畳敷のようなナメナメナメ、、、。
水の冷たさは気になるもののずーっと歩き続けたいそんな衝動にかられる。

千畳のナメを越え三段滝の高巻は要注意だ。前回来た時よりも荒れておりスラブのトラバースを失敗すると滝下まで10m滑落してしまう。念のためここは後続をロープで確保した。その後現れる野猿の滝も端正な滝。高巻も問題は無いが高度感がある場所もあるので下りは特に注意した。その後高度を上げていくと待ちに待った両門の滝!
西俣と東俣がひとつの滝壺めがけて流れ込む神秘の光景。やっぱりすばらしい滝です。
思い思いに滝を満喫し30分もすると天気は急激に崩れ雨に。いや~よくここまでもってくれた。感謝こそすれどこの雨を恨みはしない。




目的を達成したのであとはテン場めがけてまっしぐら。ただ雨はなかなか弱まらずどんどん地表は濡れていく。「これはまずいな~薪がしけってしまう!」そんな心配をしらず雨は降り続き、案の定乾燥した薪など得られず焚火はお預け!あー残念。
でもテントに4人すし詰めになってで日本酒だの焼酎だのおのおのもってきた酒で宴会。
寒さも感じずホカホカで寝ることができた。

あくる朝、天気はうそのように回復し快晴の中沢を下る。そう、今回は両門の滝が目的。だからピークは目指さない。昔の僕だったら絶対しない選択だけれどいろんな人に出会い、いろんな価値観に触れるうちに知らず知らずのうちいに身についた楽しみ方のひとつだ。東沢を抜け西沢渓谷にたどり着くと吊り橋には大勢の人が。すれ違い待ちすら発生するほど!昨日に増して人多い!!ごっついリュックにメットをぶら下げ忍者みたいな恰好をした僕らにすれ違う人の視線を集めることは言うまでもない。特に子供ときたら振り返ってガン見する始末。観光地の異物感が半端ないけどこれもまた良しとしよう。

今回は天気にもタイミングにもメンバーにも恵まれ楽しい東沢のまったり旅ができた。
やっぱりストイックに突き詰めるのも大事だけどこうやってゆったりと沢に身を置く体験も必要だと改めて感じた。沢もたくさん、楽しみ方もたくさん。短い人生でどれだけの組み合わせを愉しめるのだろう。きっとそんなに多くは無いからやっぱり一期一会。すべてを楽しみたいそう思った今回の沢旅でした♪






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